意外と難しい水の話
2012年 05月 16日
田圃に水を引いてくるための用水路まで55mある。
単純にポンプで汲み上げればいいやと思っていたが、手持ちの水中ポンプは毎分70リットルが最大値。
額面通りでいけば、700平方メートルに10cmの水を張るには、700×0.1÷0.07=1000分(16.7時間)で済みそうなものだが、落とし穴があった。
一つはポンプの能力で、最大揚程。そもそも家庭用の250Wだから8mがmaxだ。一応これはクリアできているが、実はホースが長いと水とホースの抵抗で、損失落差(揚程)を考える必要がある。
極端な場合、落差ゼロで水平方向に水を送るだけでもホースが細くて長いと流れてくれないのである。
小水力技術というサイトを参考に計算してみると、内径25mmのホースで50m送るとなると、毎時4.2立米(毎分70リットル)の流量に対して58mの損失落差が生じることになる。完全に8mを越えている。反対に損失落差が8mになる流量を逆算すると、2.4立米で一分あたりで言うと40リットルだ。実際には汲み上げに2mほどの落差があるのだから、せいぜいいって毎時1立米がいいところだろう。
結論1:
250Wの水中ポンプと1インチ径50mのホースで送水した場合に、水深10cm当たり70時間(約3日)を要するということだ。まず3日間ポンプが連続運転できるかに始まって、電気の供給をどうするか、また通電中は定期的に見回りも必要だろうから、実用性はないということになる。
次に考えたのはホース(パイプ)を太くすること。径の大きいホースやパイプはコストが上がるが、確実に損失落差(揚程)は小さくなる。
先の例でいうと、毎時4.2立米の流量に対して2インチ径にしてやると、58m→1.5mまで落ちる。単純にVU50という塩ビパイプ4mものを延々継いで引いてくれば、ポンプを使わずともそこそこの流量が期待できる。ただし55m先にある用水路の水面は低く、そのままでは流れてこないので、60m弱上流の堰までパイプを延長しなければならない。
総延長およそ120mで、落差が1mの場合の計算は、イノアックという会社の技術資料が参考になる。
このアイポリー技術資料の式を使って計算すると、偶然にも毎時4.2立米となった。これなら水深10cmに対して17時間で済みそうだ。
しかし120mとなれば4mもののVU管を30本繋ぐことになるので、材料の調達、コスト、なにより日程的に間に合うかどうか。さらにまた、他の田圃に引いてあるVU管同様に、邪魔にならないように敷設するとなると大事だ。
結論2:
VU50塩ビ管を使うと、落差1mであっても実用的な水量を得られるが、敷設に難がある。近所の先輩方が口をそろえて50mmと言ってたのは偶然ではなかった。
次に考えたのが恒久的なパイプとしてはつかえないが、工事現場などで使われる排水用ホースを代用に使う方法。これなら8月まで仮設で使えそうだ。
実は水道用ポリエチレン管が良さそうだが、内径が大きくなると一巻の長さが90mや60mと短くなってくる。要するに運搬可能なサイズと重量に抑えて販売されている。1インチを越えると外形が大きくなって私の車に載らない。なにより使わない時に収容するのも大変だ。したがってサニーホースといわれる扁平に巻かれた2インチ径、100m巻きを採用することにして注文したら、翌朝には届いた。でも早すぎた。
注文時点でホースの損失落差なんか考えてなかった。扁平になっているサニーホースは自然流下方式ではおそらく使えないだろう。圧送するのにポンプを使うとなると、送出量からいって50mm径の吐出口のものを使うことになる。エンジンは125ccクラス。
2インチパイプ120mは、流量が毎時15立米(毎分250リットル)の時に損失落差は19mで、この程度であれば十分に送水できるだろうし、水深10cm当たり5時間ほどで済むことになるが、なんだか力ずくの感がある。
結論3:
2インチ径エンジンポンプと120mサニーホースで実用的な送水はできることが判ったが、手間とコストがかかりすぎる。
で、どうする?!
(つづく)
単純にポンプで汲み上げればいいやと思っていたが、手持ちの水中ポンプは毎分70リットルが最大値。
額面通りでいけば、700平方メートルに10cmの水を張るには、700×0.1÷0.07=1000分(16.7時間)で済みそうなものだが、落とし穴があった。
一つはポンプの能力で、最大揚程。そもそも家庭用の250Wだから8mがmaxだ。一応これはクリアできているが、実はホースが長いと水とホースの抵抗で、損失落差(揚程)を考える必要がある。
極端な場合、落差ゼロで水平方向に水を送るだけでもホースが細くて長いと流れてくれないのである。
小水力技術というサイトを参考に計算してみると、内径25mmのホースで50m送るとなると、毎時4.2立米(毎分70リットル)の流量に対して58mの損失落差が生じることになる。完全に8mを越えている。反対に損失落差が8mになる流量を逆算すると、2.4立米で一分あたりで言うと40リットルだ。実際には汲み上げに2mほどの落差があるのだから、せいぜいいって毎時1立米がいいところだろう。
結論1:
250Wの水中ポンプと1インチ径50mのホースで送水した場合に、水深10cm当たり70時間(約3日)を要するということだ。まず3日間ポンプが連続運転できるかに始まって、電気の供給をどうするか、また通電中は定期的に見回りも必要だろうから、実用性はないということになる。
次に考えたのはホース(パイプ)を太くすること。径の大きいホースやパイプはコストが上がるが、確実に損失落差(揚程)は小さくなる。
先の例でいうと、毎時4.2立米の流量に対して2インチ径にしてやると、58m→1.5mまで落ちる。単純にVU50という塩ビパイプ4mものを延々継いで引いてくれば、ポンプを使わずともそこそこの流量が期待できる。ただし55m先にある用水路の水面は低く、そのままでは流れてこないので、60m弱上流の堰までパイプを延長しなければならない。
総延長およそ120mで、落差が1mの場合の計算は、イノアックという会社の技術資料が参考になる。
このアイポリー技術資料の式を使って計算すると、偶然にも毎時4.2立米となった。これなら水深10cmに対して17時間で済みそうだ。
しかし120mとなれば4mもののVU管を30本繋ぐことになるので、材料の調達、コスト、なにより日程的に間に合うかどうか。さらにまた、他の田圃に引いてあるVU管同様に、邪魔にならないように敷設するとなると大事だ。
結論2:
VU50塩ビ管を使うと、落差1mであっても実用的な水量を得られるが、敷設に難がある。近所の先輩方が口をそろえて50mmと言ってたのは偶然ではなかった。
次に考えたのが恒久的なパイプとしてはつかえないが、工事現場などで使われる排水用ホースを代用に使う方法。これなら8月まで仮設で使えそうだ。
実は水道用ポリエチレン管が良さそうだが、内径が大きくなると一巻の長さが90mや60mと短くなってくる。要するに運搬可能なサイズと重量に抑えて販売されている。1インチを越えると外形が大きくなって私の車に載らない。なにより使わない時に収容するのも大変だ。したがってサニーホースといわれる扁平に巻かれた2インチ径、100m巻きを採用することにして注文したら、翌朝には届いた。でも早すぎた。
注文時点でホースの損失落差なんか考えてなかった。扁平になっているサニーホースは自然流下方式ではおそらく使えないだろう。圧送するのにポンプを使うとなると、送出量からいって50mm径の吐出口のものを使うことになる。エンジンは125ccクラス。
2インチパイプ120mは、流量が毎時15立米(毎分250リットル)の時に損失落差は19mで、この程度であれば十分に送水できるだろうし、水深10cm当たり5時間ほどで済むことになるが、なんだか力ずくの感がある。
結論3:
2インチ径エンジンポンプと120mサニーホースで実用的な送水はできることが判ったが、手間とコストがかかりすぎる。
で、どうする?!
(つづく)
by susumuja
| 2012-05-16 12:47
| いなかぐらし